Seer Sucker

 

季節を味わう。 

 

自分の肌が求める着心地に、新たな季節の始まりを教えられることはありませんか?

例えば、さらりとした肌触りの新しいパジャマに袖を通した幼い日。夏の訪れを教えてくれたのは、サッカーと呼ばれる生地でした。

現在は様々な機能を備えた夏向け素材が登場し、どこか懐かしささえ漂うサッカーですが、爽やかで軽やかな着心地は、汗をかいた肌に涼やかに寄り添ってくれる、夏に欠かせない定番生地なのです。 

今、そんな夏を代表する生地が、播州織の産地で希少な存在になろうとしています。季節に特化した生地だけに、オフシーズンを迎える頃には織機が活躍の場を失うこともあり、少しずつ姿を消そうとしているのです。

糸の太さや質感、素材ではなく、製織の技そのもので季節を表現する生地。それがサッカーです。この産地だからこそできる生地づくりと、今一度丁寧に向き合いたい。そんな想いで、2021年盛夏のテーマとして取組むことにしました。

 

加工だけに頼らない、技と織機へのこだわり。

サッカーとは、生地の表面に“しぼ”と呼ばれる凹凸が、ストライプ状に現れるよう織られた生地。製織の際、上下2本のビームに分けて準備した経(タテ)糸の張り具合に強弱をつけ、しぼを生み出します。

 

サッカー生地を織るためには、そんな特別な装置を備えた専用織機が必要です。さらに、糸の張り具合が織機によって異なるため、すべての生地を均一に織り上げる技術が求められます。また、織り上がった直後の生機(きばた)は、一度折り畳むと折ジワが残るため、播州産地の織物とはまた違った管理が必要になるのです。

 

製織工程は繊細に、風合いはカジュアルに。

そんなサッカーの特徴は、生地の凹凸が生み出す通気性の良さに加え、肌に触れる面積が少ないため汗をかいてもべたつきにくい、さらりとした肌触りです。また、洗いっぱなしのままシワを気にせずまとえる気軽さも、夏の素材としての魅力の一つでもあります。

最近は合成繊維を織り混ぜ、加工で波を出したサッカー生地も広く一般に流通していますが、製織過程で経糸の波をしっかりと立ち上がらせることで生まれる、昔ながらのサッカーの風合いを、私たちは大切にしています。

 

懐かしくて新しい、進化系サッカー生地

今季は、綿糸だけで織り上げた生地に加え、緯(ヨコ)糸に天然素材の紙糸をあしらったサッカー生地もご用意しました。

紙の糸は綿糸に比べ軽く、毛羽立ちがない分なめらかなうえ、通気性が良く吸水・吸汗性にも優れ、乾きが早いと言われています。天然繊維であるため地中で分解され、自然環境にもやさしい素材です。

230年の歴史を紡いできた産地ならではの製織技術と、サスティナブルな時代を映す現代の素材との掛け合わせから生まれた、HaTaKaKeのオリジナルサッカー生地。しぼの幅をやや細めのストライプに仕上げたことで、印象もシャープな仕上がりです。

 

スマートな着心地とリラックス感に包まれながら、盛夏の日々を心涼やかにお過ごしください。